講演会

 午後は、日本技術士上下水道部会の講演会で、水道技術研究センターの大垣理事長の講演を聴きました。水環境全体を取り巻く制限要因の話とCREST研究の紹介の話で、面白いはなしだったと思います。上水道の役割の中で、「飲み水以外の用途」についての話は非常にためになりました。
 日本の場合、水道水質基準は、基本的に「飲めるため」の基準です。ですが水道で供給される水のうち、飲み水に関わるものは、少ない。最近は300L/(日・人)くらいの使用量ですが、200L/(日・人)は風呂、10〜20L/(日・人)は洗濯、10L/(日・人)はトイレで、飲むのは1〜2L/(日・人)がせいぜいでしょう。調理用水を含めても10〜20L/(日・人)のオーダーではないかと思います。一方で、水道は衛生環境の向上に大きな役割を果たしています。水洗便所の完備はその一つだし、手洗いやうがいで感染症を防いでいるのも一つです。こうした水は飲み水よりもよほど量が多い。水道を止めるというのは、飲み水が飲めないのではなくて、衛生環境の悪化を招きかねないといえます。水質基準は飲めるためのものなので、飲めない水は供給できないのですが、飲めなくてもトイレには使えるわけです。わずかに水質基準を超えるような場合に水道を止めないという選択肢をとれないものか?厚生労働省の審議会で検討されていますが、このあたりも考えて行きたいです。